59.貧乏なものがお金を借りて家を再興したあと、また貧乏に戻る者がある。これは他でもない、昔の貧乏を忘れて、今日の安楽な暮らしをむさぼっているからである。
だから今日の安楽に甘んじ、将来のわざわいを考えない。
今日において将来の事を考えないのがつまらないものの考え方である。
だから私は過去の良かったこと悪かったことと将来の富と貧との関係を、わかり安いように説明している。
昔に積み重ねた善が今日福をもたらす。
お金を恵み施すことを善という。
恵み施す者は徳を得、受けるものは徳を失う。
徳を得るものは家を維持することができて、徳を失うものは身を滅ぼす。
これは当たり前のことである。
そうであれば、借りたお金の徳に頼って家を再興した者は、過去の貧乏と今日の安楽を考え、恵み施す徳で失った徳に報いるべきである。
そうすれば、その幸福は子孫まで及んで、また貧乏に戻ることはない。
反対に恵み施す徳で失った徳に報いることをしなければ、幸福は自分の代で終わり、子孫まで及ぶことはない。
例えば嫁が来たのに、夫がいない様なものだ。よく考えるべきである。
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