2013/02/01

道歌・教訓歌

  • なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬは人の なさぬなりけり (上杉鷹山)
    • 世の中の 人はなんとも いわば言え 我が成すことは 我のみぞ知る (坂本龍馬)
    • 我が胸の 燃ゆる思いに くらぶれば 煙は薄し 桜島山 (平野国臣)
    • おくれなば 梅も桜に 劣るらん さぎかけてこそ 色も香もあれ (河上弥市)[意味]梅は桜よりも早く咲くから人に愛される。桜よりも遅れてさいたら見劣りする。人も先駆けてこそだ。
    • 心だに 誠の道に かないなば 祈らずとても 神や守らん (菅原道真)[意味]心が誠の道にかなっているならば、祈らないでも神はきっと守ってくださるだろう。
    • 良き悪しき 人の上にて 身を磨け 友は鏡と なるものぞかし(島津忠良)[意味]人の行いの善いところ悪いところを見て、自分に照らし合せて磨きなさい。友人は自分の行いの鏡となる。
    • いにしえの 道を聞きても 唱えても 我が行いに せずば甲斐なし(島津忠良)
    • つらしとて 恨み返すな 我れ人に 報い報いて 果てしなき世ぞ(島津忠良)
    • 楼の上も 埴生の小屋も 住む人の 心にこそは 貴き賤しき(島津忠良)[意味]立派な楼閣に住んでも粗末な家に住んでも、それは人の貴賤を分けるものではない。そこに住んでいる人の心こそが貴賎を分けるのだ。
    • 人は城 人は石垣 人は掘 情けは味方 仇は敵なり (武田信玄)[意味]人の働きは城にもなり、石垣にもなり、堀ともなる。だから人への情けが大切で、恨んだり罰したりするのは間違いである。
    • 人間五十年 化天のうちを くらぶれば 夢幻のごとくなり (織田信長)
    • 堪忍の 袋を常に 首にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え (徳川家康)
    • 見ればただ 何の苦もなき 水鳥の 足にひまなき 我が思いかな(水戸光圀)[意味]一見すれば、水鳥はなんの苦も無く泳いでいるように見える。それと同じように他人から見るとのんきに見えることでも、実は大変なことだ。
    • この秋は 雨か嵐か 知らねども 今日の勤めに 田草取るなり (二宮尊徳)今年の秋は雨や嵐で被害を受けるかも知れない。しかしただひたすらに今日出来る雑草取りをするだけである。
    • 丹精は 誰知らずとも 自ずから 秋の実りの まさる数々 (二宮尊徳)丹精込めて育てると、誰が見ていなくても作物は正直で自然と豊かな実りが得られる。
    • やってみせて 言って聞かせて させてみて 褒めてやらねば 人は動かじ (山本五十六)
    • 話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず (山本五十六)
    • やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず (山本五十六)
    • 器用さと 稽古と好きと そのうちで 好きこそものの 上手なりけれ(千利休)
    • 憂きことの なおこの上に 積もれかし 限りある身の ちから試さん (熊澤蕃山)[意味]つらいことがこの身に降りかかるなら降りかかれ。自分がもっている力の限りどこまで出来るか試してみよう。
    • 井戸掘りて 今一尺で 出る水を 掘らずに出ずと 言う人ぞ憂き (手島堵庵)[意味]井戸を掘っているときにあと一尺掘れば水が出るのに、その前に諦めてしまうことは残念だ。
    • 足ることを 知る心こそ 宝船 世をやすやすと 渡るなりけり (脇坂義堂)[意味]足るを知ることこそ尊い。この気持ちがあれば世をやすやすと渡ることが出来る。
    • 明日のこと 昨日のことに 渡らずと ただ今橋を 渡れ世の人 (中沢道二)[意味]将来への不安や、過去の後悔をせずに、今日という日を大事にしなさい。
    • 堪忍は 必ず人の ためならず つまるところは 己が身のため (布施松翁)
    • 堪忍と 聞けば易きに 似たれども 己に勝つの 替え名なるべし (林子平)
    • 上見れば 及ばぬことの 多かれど 笠脱ぎてみよ 及ぶ限りを (平田篤胤)[意味]上を見ると及ばないことが多い。しかし、できるだけ広い世界を見て回ることが大事だ。
    • 明日ありと 思う心の あだ桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは (親鸞上人)美しい桜を明日見ようと思っても夜中に嵐が来て桜が散ってしまうかも知れない。明日をあてにせずに、今を大事にすることが大切。
    • 鬼という 恐ろしものは どこにある 邪険の人の 胸に住むなり 一休宗純
    • さしあたる そのことばかり 思えただ 帰らぬ昔 知らぬ行く末 (良寛)[意味]目の前のことだけを考えて頑張りなさい。過去を悔やんでも戻らないし、明日のことは分からないのだから。
    • 世の中は 棚の達磨に さも似たり 起きては転び 転びては起き (詠み人知らず)
    • 三度炊く 飯さえこわし やわらかし 思うがままに ならぬ世の中 (詠み人知らず)
    • 世の中は めぐり合わせば すり鉢の 甘き日もあり からき日もあり (詠み人知らず) [意味]世の中はめぐり合わせであるから、甘い日もあるし辛い日もあるものだ。
    • 物言わじ 父は長柄の 橋柱 鳴かずば雉も 射られざらまし [意味]余計なことは言ってはいけない。雉も鳴かなければ撃たれずに済んだものを。
    • 門松は 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし (一休宗純)[意味]新年を迎えておめでたい。しかしそれだけ残りの人生が少なくなるのだからめでたくないとも言える。
    • もののふの 矢走の渡し 近くとも 急がば回れ 瀬田の唐橋 (宗長)[意味]急ぐ時ほど、ぐるっと回って安全な道を通るほうが、結局は早くて安全だ。
    • ほととぎす 自由自在に 聞く里は 酒屋へ三里 豆腐屋へ二里 (頭光)[意味]ほととぎすの鳴き声が聞こえるようないい山里に住んでみると、酒屋や豆腐屋へ行くのが遠い。あれもこれもは揃わないものだ。
    • 強き木は 吹き倒さるる こともあり 弱き柳に 雪折れはなし [意味]強い木は強い風で倒れることもあるが、弱く見える柳の木はしなって倒れることがない。柔軟な方が強いものだ。
    • 楽せんと 楽する楽は 楽ならず 楽は苦の種 苦は楽の種 [意味]楽をしようと思って楽をすると結局は楽にならない。苦労をするとあとが楽になる。
    • 谷川の 瀬々を流るる 栃がらも 身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ [意味]谷川の栃の実の殻は自分の身を捨てて、川に落ちたために浅瀬に流れ浮くことが出来た。捨て身の覚悟があれば、困難にも勝つことが出来る。
    • いつまでも あると思うな 親と金 ないと思うな 運と災難
    • 孝行を したい時には 親はなし 考のしどきは 今とこそ知れ
    • めぐりくる 因果に遅き 早きあり 桃栗三年 柿八年
    • 誰知ると 思う心の はかなさよ 天知る地知る 人の知るなり [意味]誰も知らないと思っても天が見ているし、大地は知っているものだ。
    • 初烏 聞くも心の 持ちようで 果報とも鳴く 阿呆とも鳴く [意味]カラスの鳴き声は心の持ちようで、果報とも聞こえるし、阿呆とも聞こえる。
    • 井の中の 蛙と身をば 思いつつ 知らぬことをば ただ人に問え
    • 宗鑑は いずくへ行くと 人問わば ちと用ありて あの世へと言え (山崎宗鑑)
    • 身を捨てて ここを先途と 勤むれば 月日の数も 知らで年経ん (二宮尊徳)[意味]身を捨てて、ここが運命だと励めば、月日の経つのも忘れてしまうものだ。
    • あめつちと 君と父母との 三つの恩 忘るる時ぞ 身はせまりけり (二宮尊徳)[意味]天と地と君主と父母の恩を忘れてはいけない。もし忘れたらたちまち困窮してしまうだろう。
    • 早起きに まさる勤めぞ なかるべし 夢でこの世を 暮らしゆく身は (二宮尊徳)
    • 日々に積る 心のちりあくた 洗いながして 我を助けよ (二宮尊徳)
    • おのが子を 恵む心を 法とせば 学ばずとても 道にいたらん (二宮尊徳)
    • かくすれば かくなるものと 知りながら やむにやまれぬ 大和魂 (吉田松陰)[意味]こうすればこうなると知りながら、やむにやまれずに行動した。これが大和魂だ。
    • 身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂 (吉田松陰)
    • 長者山 のぼらん人は 上を見て かりにも下を かえり見ましや (為愚痴物語)[意味]金持ちになろうとする人は目標を立てて、かりにもこれでよしとしてはいけない
    • 親よりの 譲りは早く 失せやすし 我が戒力に 富を求めよ (為愚痴物語)[意味]親の遺産はなくなりやすい。戒めを守り自力で富を求めなさい。
    • 見立てよく 華麗好まば 長者山 登る道なき 人と知るべし (為愚痴物語)[意味]見立てがよく華麗を好む人は、お金持ちにはなれない。
    • いらぬ物 何やと安くと 買わずして よく案じつつ 要るものを買え (為愚痴物語)[意味]不要なものはたとえ安くても買わずに、よく考えて必要なものを買え。
    • 損の道 面白くとも なさずして 徳あることを 苦しくとせよ  (為愚痴物語)[意味]損することは面白くてもせずに、得することはくるしくてもせよ。
    • 貧の元 病者不気根 色好み 引込み思案 昼寝なまかわ  (為愚痴物語)[意味]貧しくなる原因は、病気・根気なし・色好み・引込み思案・昼寝・怠惰である。
    • 欲深き 人と心に ふる雪は 積もるにつけて 道を忘るる (脇坂義堂) [意味]雪が積もって道が見えなくなるように、心に欲が積もると、人の道を踏み外してしまう
    • 耕さぬ 人に見せばや 夏の日の 汗にそばつる 賤がたもとを (金子孫三郎) [意味]耕作しない人に見せたいものだ。この夏の日に農作業する人の汗を。そしてその苦労を知って欲しい。
    • 汁一つ なくても飯は 食えるなり 足らぬを物の はじめにはして (水戸光圀) [意味]汁一つなくても食事は出来る。だから文句をいってはいけない。物事は全て足りないところから始まるのだから。
    • 火の車 作る大工は なけれども 己がつくりて 我と乗りゆく (作者不詳) [意味]火の車を作る大工はいない。火の車は全て、自分で作って自分で乗って行ってしまう。
    • 苦に病むな 金は世上に まいてある 欲しくばやろう 働いて取れ (作者不詳)[意味]金持ち出ないことを気にする必要はない。金などまいてあるようなもの。働いて得ればよい。
    • 教えなく 宝を残す 家の子は 落ちぶれざるは 少なかりけり (脇坂義堂) [意味]人の道を教えることなく、ただ財産だけを残す家の子どもの多くは落ちぶれてしまう。
    • ありがたや 静かに使う 手水場で 父母の面影 拝む嬉しさ (脇坂義堂) [意味]顔を洗っていると自分の顔の中に、父母の面影が残っていて、ありがたさを拝むことが出来てうれしい。
    • 家内中 仲のよいのが 宝船 心やすやす 世を渡るなり (脇坂義堂) [意味]家族みんなの仲がいいのが宝である。心安らかに世を渡れるから。
    • 兄弟が 田を分け取りの 争いは たわけ者とや 人の言うらん (作者不詳)[意味]親が残した田畑をとり争うことは、たわけ者と人は言う。
    • 楽という ものを求むる 心こそ 身を苦しむ 敵とは知れ (脇坂義堂)[意味]楽を求める心こそが、自分を苦しめる敵である。
    • 楽しきも 憂きも心に とめぬこそ 老いず死なずの 薬なりけり (寂湛)[意味]楽しいことも、嫌なこともその場限りにして、心に止めないことが不老長寿の薬である。
    • 悪しきとて ただ一筋に 捨てるなよ 渋柿を見よ 甘柿となる(作者不詳)[意味]悪い性質だからといって一概に捨てることはない。渋柿が甘柿になるように、欠点がかえって長所となることもある。
    • 色かたち 見て何かせん その人の 言葉を聞きて 善し悪しを知れ (作者不詳)[意味]人は姿形で善し悪しが分かるものではない。まずは話す内容をきいて判断するのがよい。
    • 身の上を 引き立て情け ある人は 親子にまさる 友と知るべし(作者不詳)[意味]自分を引き立ててくれて、思いやりのある人は親や子以上の友である。
    • 世の中に 人の恩をば 恩として 我する恩は 恩と思うな (荒木田守武)[意味]人への恩は忘れてしまったほうがいい。人から受けた恩は決して忘れてはいけない。
    • もうよいと 思うはすぐに 地獄道 鬼の来ぬ間に 洗濯をせよ (作者不詳)[意味]これぐらいのことはいいかと言う心を抑えなければ、すぐに地獄行きだ。鬼が来ない間に、そんな心は洗濯しておいたほうがよい。
    • 掃けば散り 払えばまたも ちり積もる 人の心も 庭の落ち葉も (作者不詳)[意味]庭は掃いてもすぐに葉が落ちてきてちりが積もる。人の心もまた同じようなものである。
    • 人の非は 非ぞ憎みて 非とすれど 我が非は 非とぞ知れど 非とせず (作者不詳)[意味]人は他人のよくない行動は非とするが、自分のよくない行動は分かっていながら、非としたくないものだ。
    • 知らぬ道 知ったふりして 迷うより 聞いて行くのが ほんの近道 (作者不詳)[意味]知らないことを聞かないで迷うより、聞いてから行くのが近道。
    • 善し悪しの 人にはあらで 我にあり 形直うて 影も曲がらず (脇坂義堂)[意味]人が示す反応の善し悪しは、その人に原因があるのではなく、自分にある。自分の姿勢が真っ直ぐなのに、影が曲がることはない。
    • 忌めば忌む 忌まねば忌まぬ 忌むという 文字は己が 心なりけり (作者不詳)[意味]不吉というのは不吉とするから不吉なのであって、不吉としなければ不吉ではない。それは不吉というものが自分の心にあるものだからである。
    • 何事も ありがたいにて 世に住めば むこう物事 ありがたいなり (黒住左京)[意味]何事もありがたいと感謝していきていけば、全てありがたいものばかりになる。
    • 安楽の 伝授というは 覚悟なり ただ不覚悟が 身を滅ぼす (脇坂義堂)[意味]世を安楽に暮らす秘訣は、苦も楽もあるということを覚悟しておくこと。これがないと身を滅ぼすことにもなる。
    • 養生は 薬によらず 世の常の 身もち心の うちにこそあれ (雲居和尚)[意味]健康は薬によるものではない。不断の行いと安定した心持ちにこそある。
    • 礼するは 人にするかは 人をまた 下ぐるは人を 下ぐるものかは (島津忠良)[意味]人に敬意を表し礼儀正しくするものは、人のためによいだけではなく、自分の人格もあげている。人を見下すのは自分の人格も下げている。
    • よかれとて 教うることに 腹立てん 人にはことに かけじとぞ思う (作者不詳)[意味]良かれと思って教えているのに、その忠告に腹を立てるような人にはもう気にもかけず、言葉もかけたくないと思うものだ。
    • 見ず聞かず 言わざる三つの 猿よりも 思わざるこそ まさるなりけり (慈恵大師)[意味]見猿聞か猿言わ猿よりも、思わざるの方がまさっている。
    • 明日ありと 思う心の あだ桜 よわに嵐の 吹かぬものかは (慈恵大師)[意味]花見は明日にしようと、明日を当てにする心はあだである。夜に嵐がきて桜が散らないとは限らない。
    • すべき事 片付けるこそ 善処なれ せずに置く気は いつも苦しむ  (作者不詳)[意味]物事をうまくやるためには、するべきことを全て片付けておかなければならない。放っておくといつまでも気になってしまう。
    • 勇気とは 我が人欲の わたくしに ちっとも負けず 勝ち抜くを言う  (脇坂義堂)[意味]勇気とは自分の欲望を抑え抜くことを言う。
    • 怠らず 行かば千里の 末も見ん 牛の歩みの よし遅くとも (坂静山)[意味]怠らずに歩み続ければ、ついには千里の先にも行けるだろう。たとえそのあゆみが牛のように遅くても。
    • 思うべき ものは身よりも 名なりけり 名は末代の 人の世の中 (荒木田守武)[意味]名声や評判を自分の身体よりも優先して考えるべきである。身体は死ねば灰になって残らないが、名前は末代の世まで残るのだから。
    • 愚かなる 身なりと思い くだすなよ 道を学ぶは 根気にぞよる (作者不詳)[意味]愚か者と自分を思い下してはいけない。学びの道は根気によるのだから。









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