60.田植えをした者はすぐにその実を収穫できるわけではない。
春に耕し、夏に雑草を取り、水や肥料をよくあげることによって、秋に実を収穫することができる。
借金をして田植えをしたものは、その田んぼはすぐに自分のものになるわけではない。
5年7年10年と借金を返済したあとに、やっと自分のものとなる。
つまらない者はこの事を知らない。
いったん田んぼを買えば、すぐに自分のものになったと思い、すぐにその利益を自分のものにして、馬を買ったり、家を買ったり、婿をとったり、嫁をもらったりする。
このようなものは必ずその田んぼを失う。
百姓が秋の収穫が来たら、年貢を治め、その残りで借金を返済し、かつ恵み施してもらったことに報いるために、困っているものに施しをして、その後にようやくその田んぼが自分のものになる。
秋の収穫が来ても、年貢を治めなければ罰があり、借金を返済しなければ田んぼを失う。
これは魚を食べるようなもので、喜んで骨を取らずに食べれば骨が喉に刺さって、苦しみついには死んでしまう事とよく似ている。
よくよく戒めなければならない。
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