2013/04/24

二宮先生語録 101 現代語訳 イワシ網と我が道


101.猟師がイワシを網で取るときは、網のひきはじめはゆっくりで、漁長が一人で網をひくが、決して休むことはない。そしておもりのところまで来ると、漁長が合図をすれば、たくさんの猟師がそろって一気に網を引き始める。こうやってたくさんのイワシを取るのである。ここでは皆がそろって漁長の合図に従うのはどうしてだろうか。
それはとった魚を公平に分配するからである。
堯・舜がはこれと同じように天下を治めた。
人民とその利益を共にしたので、民衆が心をあわせて苦労を忘れて生業を楽しみ、天下は栄えた。
ところが今の世は、君主は税金を取ることばかり考え、民衆は税金を逃れることばかり考えている。だから君主と民衆が力を合わすことなく、心があわず、税金が集まらずで国家が衰えている。
これは漁長が利益を独占すると、猟師の気持ちがあわず、網を引く力もそろわず、魚が取れないのと同じようなものである。
我が道はこの道理を極めて、国家の天分の税額を定めて分度を立て、余財を譲り、民衆と利益を分け合い、善行者は表彰し、困窮者は施し、国民一人ひとりの利益にする。だから土地は開け、田畑は良くなり、税金は年々増加して、国家が治まっていくのである。

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