2012/11/14

二宮先生語録64 現代語訳


64.過去を振り返ってみれば、恩を受けてそれに報いなかったことがあるだろう。
また徳を受けてそれに報いなかったこともあるだろう。
そういった報いをしない者は、必ず過去の恩を忘れて目前の徳を貪る。
だから貧乏から抜け出せないのだ。
そういった報いを行う者は、過去の徳を記憶していて目前の徳を求めない。
だから富を保つことができる。
なぜかというと恩に報い、徳に報いることは、全ての根本だからだ。
自分の身体を自由に動かせるのは、父母の恩である。その恩に報いることを孝という。
禄位があり、人に尊敬されるのは君主の恩である。その恩に報いることを忠という。
自分の田を田とし、自分の家を家とし、そこで父母妻子を養うことができるのは、治世の恩である。その恩に報いることを納税という。
穀物や野菜を生産し、人の身を養い、生活を安定させるのは、田畑の徳があるからだ。その徳に報いることを農業に励むという。
日用品が何でも欲しいものが手に入るのは、商人の徳である。その徳に報いることを、支払いという。
借金をして用を足すことは、貸主の徳である。その徳に報いることを返済という。
まだまだ他にもたくさんある。
このように人道とは、その恩に報い、その徳に報いることに名づけたものだ。
人であれば、恩に報いることに努めなければならない。

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