51.一村の富は、村長がもとになっている。
村長が富にいて満足することを知らなければ、小さい農家は成り立たない。
小さい農家が成り立たなければ、村長は一人だけでその富を維持することはできない。
これを風呂屋に例えよう。
その湯ぶねの湯は、大人の身体の半分ぐらいしかない。
大人はこれを憂い、壮者これを憂い、お湯をすくって肩にかけてもお湯をむだに使うだけで身体が温まらない。
もしそのお湯を倍にしてかければ、子どもはお風呂にさえ入れない。
ここで大人が身体をかがめて入れば、お湯は自然と肩まで浸かり、子どももまたお風呂に入ることができる。
大人も子どももともに暖まることができる。
村長は、善くこの事を理解し、田を二百石を持つものは、百石にかがめ、百石を持つものは、五十石にかがめて、家計をやりくりし、その余財を譲れば、その恩恵は小さい農家に及んで、富者・貧者ともに衣食を得るようになる。こうなれば一村は座っていても治められるようになる。
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