7.国家が衰退して窮乏する原因はなんであろうか。
限られた財産を無駄に使うからである。
もし無駄に使わなければ、国家は必ず富んで豊かになる。
これを人間の寒暖に例えてみる。寒さに苦しんでいる者は、全身の温さを無駄にしてしまっているのである。
服をきて体を被えば、温かくなる。
ももひきや足袋を履いても同じである。
これらは服が温かいのではない。
全身の温さを無駄にしていないからなのである。
もし服そのものが温かいのであれば、服をしまってあるタンスから火が出るだろう。
しかし火が出た事がないのだから、服そのものが温かいのではないと分かる。
国家においての分度もこれらの服やももひきや足袋と同じようなものである。
国家の衰退を復興させようとする者は、まずは分度をたてるべきである。
分度を一度立てれば分内の財産は、無駄になることはない。
これで衰退した国を復興させることができるようになり、衰退した家を復興させることができるようになるのである。なによりも分度を立てるとよい。
一年には寒い時もあり暑いときもある、日の長さは長い時もあり短いときもある、国には盛んなときもあれば衰えるときもある、家には貧しい時もあれば豊かなときもある、穀物は豊かなときもあれば、実りが少ない時もある。
一年の寒暑や長短を平均すれば、それは春分・秋分のときである。
盛衰や貧富や豊凶を平均すれば、自然の数字となる。
この自然の数字を国家の分度とするのがよい。
これを基礎という。これを守れば国家が衰退し窮乏するということはない。
これが私の道の根本である。
0 件のコメント:
コメントを投稿