2013/01/30

二宮先生語録96 現代語訳


96.世間の人間は損と得ばかりを論じて、西に東に追いかけまわっている。こちらで得をすれば、あちらで損をし、こちらで損をすれば、あちらで得をする。全国で差し引いいてみれば、損と得はないのだ。
田畑や山林は利益の根本である。しかし田畑は耕作する人を失って力を失い荒地になり、山林は山火事が起こり、材木を失い、民家を焼いてしまい人口が減り、廃村となる。これはまさに一国の損である。
農業もまた、利益の根本である。しかし村民は怠け、飲酒や博打に時間を費やし、耕作や肥料を怠り飽きの収穫は減っている。これも一村の損である。
また、耕作も利益の根本である。しかし農具がないとか農馬がいないとかを理由にし、健康な身体ながら、何もせずに時間を費やし、または借金の返済のために時間を費やし、秋の収穫を全て返済のあてにしている。これこそ一家の損失である。損失でこれほど大きいものはない。
私の貸付法はこの損失を取り除くものである。貸付が止まることなく行われれば、荒地もなくなり、借金は返済され、怠惰は勤勉になり、貧乏なものは甦る。野火はおさまり、山林は茂り、衰退した国も甦る。一国の利益でこれほど大きいものはないだろう。

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